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【未来予想図 選択的夫婦別姓を問う】(下)戸籍、墓も個人単位(産経新聞)

 ■廃れる先祖への敬慕

 20××年、お彼岸。かつては家族連れが訪れ、お墓の前で神妙に「お参り」していた日本ならではの光景は、過去のものとなった。雑草も生え放題で、代々の先祖が眠る「〇〇家」と記された墓は見捨てられたまま、もう何年にもなる。「無縁仏」同然で誰にも見向きもされなくなった墓が全国各地にあふれているのだ。

 「子供が18歳になったら『家族解散式』をやろう」(『結婚はバクチである』)

 「(別姓の夫婦が多くなれば)外からみると、事実婚なのか、法律婚なのか、分からないと思います。私は、事実婚なのか、法律婚なのか、まったく分からなくした方がいいと思うんです」(『夫婦別姓はいかが』)

 著書に象徴されるように、夫婦別姓を推進する福島瑞穂少子化担当相らの考えに抗する動きが今までなかったわけではなかった。選択的夫婦別姓制度の導入を法務省にある法制審議会が答申・提言したのは平成8年2月。しかし、何度も検討の俎上(そじょう)に載せられたが「日本の伝統文化を壊す」「家族のきずなを壊す」として法案提出は見送られてきた。

 一方で、推進論者が別姓の根拠に挙げていた、旧姓の通称使用も官公庁や一般企業で広く認められるようになった。結婚した女性は名字が変わり、仕事に不都合が生じることがあるためだ。それでもなお、推進論者は「夫婦別姓」の導入を訴え続け、そして民主党をはじめとする与党の圧倒的多数で成立させた−のだった。

 法案成立後、時間がたつにつれて、結婚観や家族観は様変わりした。福島氏が著書で述べたように、別姓導入で「結婚」と「同棲(どうせい)」の垣根がなくなっていき、わざわざ法律婚を選ぶ人は減った。別姓先進国、欧米諸国がそうであったように家庭を維持する義務や努力をきらい、離婚の選択も増えた。福島氏の提唱した「家族解散式」を営む個人が増え、文字通り「結婚は博打(ばくち)」となったのだ。

 選択的夫婦別姓が導入されると、やがて戸籍の個人別管理をめざす「戸籍改革」が掲げられた。戸籍はそれまでの家族の連続性、一体性を記し、未来に残していく証しだったが、その「効能」をふだん実感できる機会は乏しい。

 「戸籍改革」を「戸籍新時代」などと新聞、テレビは大喝采(かっさい)した。政治も進歩的な時流に流されるままだった。「血統」や「家柄」「家」は封建時代の産物と目の敵にされ、「個人」が最重要な価値に置かれた。

 戸籍だけではない。個人別になったのは、墓も同じだった。夫婦別姓を選択することは「〇〇家」という考え自体を否定することにほかならない。だが、日本人がそのことを疑問視しだしたのは、ずっと時間がたった後だった。

 家単位の墓は急速に廃れ、誰も墓参りに来ることがない個人名の墓が増えたことも「個人の自由」となった。かつて日本では「姓」を祖先から受け継がれてきた名称と受け止めていた人が67・2%(内閣府調査)にのぼったが、それも過去の話になった。別姓夫婦の子供たちが増えた結果、もはや祖先という言葉自体が死語同然となった。「ご先祖のお墓を守る」という気持ちも廃れていった結果、墓はただの骨の収容施設で「人は死んだら忘れられる」時代になった。この結果、全国各地に見捨てられ荒れ果てたお墓が増えたのだ。

 日本社会の基礎的な基盤、家族はわれわれにとっての精神的な基盤でもある。その家族のきずなに対立の火種を持ち込むだけでなく、家や墓を通じて先祖を大切にする「敬慕」「追悼」の念すら廃れてしまう恐れが選択的夫婦別姓にはある。制度のメリットを説く推進者の言だけで決めるのではなく冷静な議論が必要なのだ。取材に基づく「未来予想」でそのことを実感した。

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 連載は安藤慶太が担当しました。

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 Eメールnews@sankei.co.jp FAX03・5255・6634 郵送〒100−8078 東京都千代田区大手町1の7の2 産経新聞社会部「夫婦別姓」係。お便りには連絡先を明記してください。

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